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プレシャス・ウォッチ

スイスのジュエリーウォッチ

1675年から19世紀終わりにかけて

クォーターリピーターとオートマトン懐中時計

1750年頃から1850年頃にかけてジュネーブのエナメル技術は最高潮に達し、ヨーロッパ各国のウォッチメーカー達はこぞってこれを取り入れました。それによってスイスの時計は国際的なスタイルを身に付け、イギリス、フランスの大家達によって採用されたのです。

1780年以降、ケース の裏ブタ全体がペインティング・エナメルのキャンバスとして使われるようになります。その周囲には半分にカットしたパールが並べられています。ジュネーブのエナメル職人は、ペインティング・エナメルの表面を透明なエナメル層で覆う「フォンダン」と呼ばれる技法を完成させました。これはペインティング・エナメルを保護すると共に、その明暗や色の違いを際立たせる事が出来ます。

17世紀の後半から19世紀になると、中国市場向けのジュエリーウォッチを専門に製作する職人たちが現れます。中国との交易は19世紀の終わりまで続きました。その中でもフルーリエの「ボヴェ」、その後登場する「ディミエ」、「ジュヴェ」、「ヴォーシェ」などが有名です。これらの時計はセンターセコンド針を備え、ムーブメントには華麗なエングレービングが施されています。また時計は必ずペアで作られました。中国ではペアになったものを贈答品に用いる習慣があったからです。そのケースは美しいエナメルで装飾され、その周囲は半分にカットしたパールが並べられています。

1780年頃になると、16世紀から17世紀かけて流行した様々な形をしたファンタジー・ウォッチが再び登場します。その形は動物や植物などかたどったもので、蝶、バラ、ヒナギク、桃、梨、リンゴ、ミカン、イチゴ、メロン、クルミなどがあります。他にもバスケットや、ヴァイオリン、リュート、ハープといった楽器など、その発想には限りがありません。またパールとルビーで飾られたハート型の時計にエナメルで天使が描かれたものや、スナフボックス(嗅ぎタバコ入れ)、ステッキ、ピストル型の香水スプレー、扇子、オペラグラスなどのアクセサリーに時計を組み入れたものもあります。これらは富裕層に向けて作られたもので、エングレービングエナメル、宝石で豪華に装飾されています。ジュネーブはこの様な時計の産地として傑出した存在でした。しかし少数ですがパリ、ロンドン、ウィーンなどで作られたものの中にも素晴らしいものがあります。エナメルはあらゆる部分に、あらゆる色、濃淡のものが使われています。宝石やパール.は、昆虫の胴体や触角、葉の葉脈などの表現や、文字盤の縁などに用いられました。

16世紀に登場したリングウォッチは、1780年以降にまったく新しいスタイルで再登場しました。これらは主にオバール型や角型で、そのベゼルにはパールやダイヤモンドが並べられています。その多くは文字盤が中央からずれた位置にあり、そのスペースにテンプやオートマタが配されます。1800年から1810年にかけて製作された腕時計にも、同様のスタイルが取り入れられています。

1830年から1890年にかけては、時計は最早ジュエリーの一部ではなくその機能が追及されました。ファンタジー・ウォッチが再び登場するのはアール・ヌーヴォー期になってからです。その頃になると花、木、昆虫などはエナメルの絵の中に描かれ、そして宝石で飾られています。アール・デコ 期の時計では、以前と比べて驚くような写実性が実現されています。

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