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フォーラム2014

ビジネスとは絶え間なく変化する環境の中で進化していくもので、個人と何ら変わりません。「万物は流転する」、これはヘラクレイトスによる2500年前の言葉ですが、現在においても真理と言えるでしょう。人口、テクノロジー、マーケット― 変化は我々の暮らしの至る所に生じ、常にチャレンジする事を強いてきます。「次は何?」をテーマとして、第6回高級時計フォーラムが11月中旬にローザンヌで開催されました。チャレンジする事の意味について、僅かながらでも光明を見出そうとする試みです。

IMD(国際経営開発研究所)で国際競争力について研究しているステファン・ガレリ氏の指摘によれば、 グローバリゼーションは先進経済にとって最早低迷期に入ったと言えますが、主要な多国籍企業は世界市場を利点として捉えています。その中でもグーグルのような企業は、グーグル・スイスのパトリック・ワーンキングによれば、革新性と「スマート」な環境作りによって独自の路線を歩んでいます。エルメス・インターナショナルCEOのアクセル・デュマは、創造性に裏付けられたさらに過激なスタイルが将来の主流を占めるだろう、と言いつつも、それは各企業のペースで行われるべき、としています。スマートウォッチを世に出した革新企業アップルは、フィナンシャル・タイムズのラグジュアリー担当エリザベス・ペートンによれば、人の腕を巡る競争に打ち勝とうと躍起になっています。   ビジネスはその焦点を1つのグループに絞って行われるものです。その中でも特に1980年から2000年の間に生まれた新世紀世代は、既にブランドの戦略対象となっています。ポジティブ・ラグジュアリーの共同創立者ダイアナ・ヴァーデ・ニエトは、デジタルに囲まれて育った彼らの世代は、常に新しい体験を求めている点でこれまでとは違う消費者層である、としています。この点を無視する企業の行く末は危ういと言えるでしょう。ジャーナリストで「スロウネス」の推進者カール・オノレイと哲学者フレデリック・ルノワールの2人は、急激なスピードで進んでいく生活の中で、「スローダウン」の警告を無視する人達に潜む危険について指摘しています。それは現代の世界とは相容れない幸福を追い求めているに過ぎない、というだけでなく、自身の作り出したテクノロジーの中で自分を見失っていると言えます。その答えは新世紀世代が握っています。


フランコ・コローニ
ファビアンヌ・ルポ
ドミニック・テゥルパン
ブルノ・ジウサーニ

参加者


ステファン・ガレリ:2015年の展望とその先

国際競争の分野における権威で、IMD(国際経営開発研究所)とローザンヌ大学で教鞭をとっています。経済学に国際競争という新しい分野を開拓し、IMD国際競争力センターを開設しました。以前は世界経済フォーラムおよびダボス会議の責任者であり、また巨大国際企業の経営アドバイザーや、FFサンド・フィナンシャル&バンキング・ホールディングスの会長を務めていました。幾つもの国際機関にその名を連ね、現在はスイスの新聞ル・タンの会長を務めています。またスイスの州法制定議会の会員でもあります。

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パトリック・ワーンキング:グーグル - その発明がもたらす未来に直面して

2011年からグーグル・スイスの代表を務めています。以前はドイツでグーグルの様々なサービス(ゲーム、動画、音楽、TV番組、出版などメディアやエンターテイメント関連)を率いていました。ザールブリュッケン大学を卒業し、さらにボッコーニ大学、スタンフォード大学、シンギュラリティ・ユニバーシティでも学んでいます。またドイツ最大のテレビ局グループでの経験も持っています。

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エリザベス・ペートン:スマートウォッチ -人の腕を巡る争い

フィナンシャル・タイムズ紙のファッション・ラグジュアリー担当を務め、ファッション、ラグジュアリー、販売、消費などに関して企業やマーケットの動きをレポートしています。ニューヨークを拠点として活動しており、FT紙のラグジュアリーに関するブログ「マテリアル・ワールド」や、同じくFT紙の季刊誌「ウォッチ&ジュエリー・レポート」にも寄稿しています。また紙面の至る所で、業界の主要人物についての記事やインタビューを書いています。2011年にFT紙に入る前は、ロンドンでサンデー・タイムズが出版している「スタイル」誌のオンライン編集アシスタントを務めていました。

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アクセル・デュマ:エルメス、複雑でないムーブメント

エミーユ・エルメスの曾孫で、エルメス一族の6代目です。法学修士号と哲学士号を持ち、パリ政治学院に入り、ハーバード・ビジネススクールを卒業しています。パリバ証券で北京とニューヨークに赴任して8年間務めた後、2003年にエルメスに入りました。それからは宝石、レザー、馬具部門の監査役、販売ディレクター、経営責任者を歴任した後にCOOに就任し、2013年6月にはエルメス・インターナショナルのCEOに就任しました。

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ダイアナ・ヴァーデ・ニエト:新世紀世代 - 彼らの考え、彼らとの付き合いかた

ポジティブ・ラグジュアリーの共同創設者(カレン・ハントンと共に)です。ロンドンを拠点としてコンサルタント業を行い、社会や環境に影響力を持つブランドに焦点を当てています。「永続的な発展こそ魅力的です」と彼女は言いますが、さらに指摘しているのは、新世紀世代は全く正反対の捉え方をしており、言葉ではなく潜在的な価値を重要視している点です。ブランドはどうやって新世紀世代を取り込み、ラグジュアリーへの関心を引き出せば良いのか、これは彼女にとって日常の問題で、彼女が認定したブランドは300以上に上ります。また彼女は、世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダー」にも選ばれています。

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カール・オノレイ:急激に変化する世界におけるスピードダウン

彼は「スロウネス」の推進者です。スピードに対する執着は健康、幸福、人間関係、生産性を損なうものであるとし、初の著作「In Praise of Slow(2004年)」では急ぐ事への強迫観念について分析し、スピードダウンする事がこの先のグローバルなトレンドである、と記しています。最新の著作「The Slow Fix (2013年)」ではビジネス、政治、個人などのあらゆる問題の解決方法について触れ、短期間で上辺だけの改善に陥る事の無いよう、警鐘を鳴らしています。

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フレデリック・ルノワール:即効的な幸福を求めて

彼は哲学者、社会学者、宗教史学者です。パリの社会科学高等研究所の共同研究員で、10年間に渡って宗教雑誌「Le Monde des Religions」誌の編集者を務めました。2009年からはフランスのラジオ局フランス・キュルチュールで、週1回の番組「Les Racines du Ciel」を放送しています。また約40の著作があり、多くの百科事典編纂にも関わっています。最近の著作では哲学的な物語「L’Ame du Monde(2012年)」、エッセイ集「Du Bonheur, Un Voyage Philosophique(2013年)」、世界の危機について共同で執筆された「Les Voies de l’Espérance(2014年)」などがあります。  

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第6回高級時計フォーラムの様子

写真 © point-of-views.ch